予防は、将来を予測する力

 医療制度としては、『治療に重点を置く』ことと『予防に重点を置く』ことは対立する概念であります。しかし、個人のレベルでは、治療と予防は、けっして対立する概念では無いと思います。個人レベルで考えると『治療』と『予防』は共に『生活の質(QOL)の向上』という支点をもつシーソーのようなものではないでしょうか。個々のケースによって、また、その人のライフステージによって両者のバランスが揺れ動くだけのことだと考えています。私は、歯科医師ですので普段、主に治療行為をしています。そのため、治療に必要な診断をする事に慣れています。治療は、結果がすぐ出るものが多いですし、必ず患部の変化が起きてきます。ですから、患者さんにとってもそのメリットが理解しやすいことと思います。すばらしい治療には、患者さんも喜んで金を払ってくれます。ドクターもまた、すばらしいテクニックに感動し、その技術を修得したいと考えます。
 
一方、予防はどうでしょうか?
 いくら優れた予防法でもその効果はすぐに目に見えるものではありませんし、何の変化もしてきません。変わらないことに患者さんはお金を払う気がしなくなるのは当たり前の事かもしれませんね。しかし、予防を続けているのとそうでない人とでは、長い間にはその違いが確実に大きな差になって現れるものです。

予防するためのリスク判断には、
将来起こりうる事態を予測し、その原因となる要因を列挙します。
その中でその人には、何がもっとも危険な因子か判断し、
リスクの高い要因から、
コストを踏まえて対策を考えていく
といった技術が要求されます。

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