「疾患予防」から「健康づくり」へ

結論として

 齲蝕・歯周病は元来は感染症であるが、その罹患率が非常に高率であること、発症・進行に生活習慣が大きく関係することにより、生活習慣病対策の視点からも考えていく必要がある。したがって、感染症対策とともにライフスタイルの改善を伴う環境因子の改善を図る必要がある。つまり患者さんの口の中だけを診ているのでなく、患者さんのライフスタイルや患者さんの置かれている社会環境をも考慮して対策を考える必要がある。

 このように考えてくると、私たちは、『疾患予防』ということの次の目標に『健康づくりを支援する』ということが大切だと思うようになりました。この図を見てください。この図は、大変重要な図で島内先生が作られた図に私手を加えたものなのですがヘルスプロモーション(健康づくり)の概念が凝縮されています。ヘルスプロモーションとは、専門家が考えた医学的な根拠に基づいた『健康』というものに患者さんを当てはめて管理・指導していくのではなく、専門家は、主役である患者さんがQOL(生活の質)の向上という頂上を目指して、健康という坂道を登るのをただ後押ししてあげるだけ』なんだということ。さらには、そのための『政策づくり』つまり環境を変えるためには、専門家だけでなく行政や地域社会の人達とも協力し合っていく必要がある。といった概念です。これは、WHOが21世紀の健康戦略として、1986年オタワ憲章の中で打ち出した概念です。オタワ憲章では、ヘルスプロモーションを次のように定義しています。『ヘルスプロモーションとは、人々がみずからの健康をコントロールし、改善することが出来るようにするプロセスである。』

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