指導のポイント

 カリエスリスク検査に関して、よく勘違いされるので強調したいことがあります。
 
例えば、乳酸桿菌(LB)の量が多いから、その数値を下げるために、歯ブラシをがんばろうとか、食生活を改善しよう!とかいった指導は、行っていないことです。これでは、本末逆転しています。 好ましい方法は、アンケートの結果、食生活や生活習慣に問題があることがわかる。その患者さんの健康づくりのためには、食生活を改善する必要がある。しかし、本人は別に体の不調があるわけではないので、好ましい食生活でないことはわかっているが、あまり気にしていない。そこで、患者さんの行動変容を容易にするために、『あなたの好ましくない食生活の結果として、お口の中でこんなにLBが多くなっていますよ。あなたは、その事をどう思いますか?』と、質問するのです。
 患者さんが、『食生活を改めるようにしたいと思います。どうすれば、良いのですか?』
と言ってくれれば言うこと無しです。この場合は、医師でも簡単に指導できます。
 しかし、たいていの場合は、『チョコレートが良くないことはわかっているんですが、この子は、買ってやらないと我慢できなくて・・・しょうがないですよねぇ・・・それに、先生聞いてくださいよ! 最近、うち子ったら、"チョコレートは、ポリフェノールが入っているから健康にいいってTVで言ってたもん!お母さんは、知らないの!? だから、僕は、チョコレートを食べているんだよ!"なんて、言い出すんですよ。もう、私、何ていっていいかわからなくて・・・お願いですから、先生から、『たけし』に、キツく言ってやってください!』なんて答えが返ってくるもんですよね。さて、こうなってくると大抵の医師はお手上げだと思います。
 さて、これからが、歯科衛生士の腕の見せ所です。先ほどのヘルスプロモーションの図を使って説明しますと、『だめよ。たけし君、チョコレートばっかり食べてちゃ!』と言ってはっぱをかける事は、本人を後押しする方法です。
 『そうか、たけし君はチョコレート大好きなんだ。美味しいもんね。でも、いくらTVで健康にいいって言ってもね、食べ過ぎは良くないよ。そんなに沢山食べていると、ひろし君のからだが壊れちゃうから、今日からは、半分にしようか?』という提案をするのは、坂道の勾配を低くして登りやすくすることで行動変容を図る方法です。
 どんな方法を取るか、決まったルールはありません。要は、たけし君のパーソナリティ−にあった方法で、かつ担当する歯科衛生士のキャラクターをもっとも発揮できる方法がよいのです。 型にはまった指導ほど、つまらないものはありませんね。

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