Turku Sugar Studies の真の意味    by T.Saito 11/13/00


Turku Sugar Studyは、実は、キシリトールの再石灰化能力を証明するための
研究でもあった。


 キシリトールの効果を世の中に最初に示しのは、今から約27年前のマキネン教授によるTurku Sugar Studies(1975) であることは、皆さんよくご存じだと思います。

Turku Sugar Studiesが掲載されている学会誌(1975) フィランド研修へ行った際に残り少ない貴重な1冊にサインをして頂いたお宝本

 Turku Sugar Studiesは、全部で21の論文からなりますが、大きく2つの研究に分かれていています。1つめが、摂取されるすべてのショ糖をキシリトールに置き換えたもの。2つめが、ショ糖の一部分をキシリトールで代用したもの(ガム摂取)です。1つめで、齲蝕発症抑制を疫学的に証明し、2つめで、部分代用つまり、キシリトールガム摂取だけでも同じ効果があることを証明したと理解していました。

 ショ糖を摂取しなければ、ショ糖を摂取したグループと比較して齲蝕の発症が低いのは当たり前ですよね。それを証明するために、2年間も厳しい食事制限をして、多くの食品メーカーの協力を得て、あらゆる菓子類(ジュース類、クッキー、ケーキ、ガム、アイスクリームなどなど)のキシリトール商品を作ったのか不思議でした。(下の写真が論文に掲載されているFig.3)

論文抄録に下記のように書いてありました。
The result showed a dramtical reduction of caries incidence in the X-group and indicated a therpeutic and remineralizing effect on dental caries.

つまり、キシリトールの再石灰能を証明したかったんですね。
そういう目で改めて、日本でこの論文を紹介している記事をみると、この点を正しく紹介してあるものがほとんどありませんでした。(書名:「歯を守る」甘味料 出版:オーラルケア社 だけでした。)これでは、当り前の事を証明しただけの研究だと誤解されてもしかないですね。マキネン先生ごめんなさい。

シュクロース(ショ糖)
フルクトース(果糖)
キシリトール
C1レベルの虫歯が再石灰したので虫歯の数が減少しマイナスを示している。

この研究でもうひとつ大切なことは、フルクトース(果糖)群、つまり非水溶性のデキストランを作らない糖でも、歯垢PHを下げる糖は、齲蝕が発症するという事実です。(もちろん議論の余地がありますが)

バイオフィルムが齲蝕病原性が高いことには変りませんが、マイクロコロニーからも齲蝕が発症する可能性を示唆している点は注目すべき事実だと思いました。