ボー・クラッセ名誉教授講演会報告 by T.Saito 10/22/01

part 1

カリオロジーの生き字引であられるKrasse B.教授(78才)の
初来日(そしてたぶん最終)講演に行ってきました。

オタクしか集まらないと思っていたら会場は、ほぼ満員。
すべて有料入場者で500名以上集まっていました。(*_*)

1940〜2001まで年代別に齲蝕学のトピックスを述べられ、
まさに齲蝕学の歴史の授業のようでした。

個人的にはすごく面白かったのですが、ハウツーものの講義を
期待してた方達には、臨床に役立たないよ という印象を持たれたようでした。

ご高齢なのに朝から夕方まで立ちっぱなしで講演されました。

最後の質疑応答の際に、あまりにもつまらぬ質問の連発に
「私の講演の中で、その事は説明したのに、今頃、こんな質問するなんて・・・!」
とKrasse先生切れてしまいました。(日本人はその場で質問しないです、先生 ^^); )

閉め挨拶でKrasse先生は、
「ずいぶん厳しい言い方をして、頑固者の年寄りだと誤解されていないか心配です。
昔から、犬と生徒は厳しくしつけろ!といわれておりますので、はっきりとお答えしました。
どうぞお許し下さい。」と笑顔でまとめらていました。(納得)

いや〜年寄りは何をいっても許される、いいおじいちゃんだもん。(^_^)

機会があったらまた日本に来て下さいね。

part 2

北欧でご活躍されている現教授達が院生の頃の
医局でのスナップ写真もみせて頂きました。(みんな若い!)

今をときめく教授達が彼の門下生なんですよね。

その頃のイエテボリ大学の写真には、当時のサーブと旧ビートルが
写っていたりして時代を感じさせました。

JDR9月号に「Vephepholm studyを振返る」という記事がでるといっておりました。

1940〜50年代のスウェーデンでは、
65才以上の70%は無歯顎だったそうです。
1990年には15%、2000年には10%を切っているそうです。
今は、歯科医師過剰が問題で人口比1/1100の割合だそうです。
現在は、DR 7000人、DH 2500人, DA 13000人だそうです。

医療制度が出来高払いから一人頭いくらのCapitationシステムに変更された。
1999年からリスクに応じた戦略をとる医療システムに変更。
Zickert ( BDJ 2000 189 480-486 ), Cole ( 1999 )

実践的なノウハウとして、
患者さんと一緒に決めた予防プログラムは必ず内容を書いて渡すこと。
患者さんの目に止まるようになっていなければすぐに忘れられる。

食事内容のアンケート調査によるリスク判定に関して、
どんなに工夫したアンケート用紙でも、患者さんの二人に一人はウソを書く。
だから、細菌学的な検査を組み合わせて評価することが大切。

それと私が初めて知っただけですが、 There is no bar of the cutting edge
cutting edge は、最先端という意味の掛け詞なんですね。

part 3

カリオロジーの歴史

1940〜50

42 フッ素局所応用
 45 水道水フッ素化(Grand Rapids)

 ペニシリンが齲蝕予防に有効だと分かる

1950〜60

56 フッ化第1スズ歯磨剤
 54 Viphepholm Study
タービンの登場

 無菌ラットが無齲蝕になり齲蝕は感染症とわかる

1960〜70

60 MS菌の分離、同定(動物)
フッ素局所利用に関する大規模研究と集積
61 フッ素洗口
 65 MFP配合歯磨剤の登場
66 ヒトからMS菌分離同定
 67 SM菌分類
 
67 Hopewood House study
 69 Vaccination(他の菌の繁殖を阻害する抗菌性タンパク質を放出することがわかる)
70 Sterologica(血清型の分類 SM菌からMS菌へ)

 ショ糖の病原性が明らかに

1970〜80(黄金期)

 代用糖の開発( Xylitol 1975)
75 フッ素バーニッシュ
 77 CHXの抗MS性
 プラークの質の区別
 ワクチン
 リプレースメントセラピー(ジェフ・ヒルマンが第1人者)
 免疫 分泌型IgA , IgG
ギボンズの発見 MS菌の歯面付着性
 シーラント

1980〜90

歯面付着性の研究
 モノクローナル抗体
 82 CHXトレー法(Zickert)
 84 母子感染の研究(Kohler) *現在まで子供を20年間追跡している
 CHXバーニッシュ
 NaF配合歯磨剤

1990〜
情報伝達手段の革新
 高齢者対策

"Wlelcome the change, and use it well" と結んでいました。

スェーデン国内のフッ素利用の流れは、

42 フッ素局所応用開始
45 フッ素水道水化((一部地域)
50 フッ素タブレット
56 フッ化第1スズ歯磨剤
61 フッ素洗口法
65 MFP配合歯磨剤の登場
75 フッ素バーニッシュ
80 4才からF配合歯磨剤使用へ(彼はF量のコントロールが容易なタブレットを推奨)
90 1000ppm NaF配合歯磨剤
90 フッ素洗口廃止
9? 政権が変り、政治的理由により法的に水道水のフッ素添加禁止
01 フッ素洗口再開(齲蝕増加の為)

成人でのフッ素利用の研究も少し紹介 Rash(1987)