リカルデントガムの再石灰」広告     by T.Saito 2/14/02

バレンタインデーですね! チョコレート食べてもいいよね。

今朝(2/14)の朝日新聞「リカルデントガムの再石灰化」の広告ご覧になられましたか?日本で消費者向けの広告にJDR(世界的でもっとも権威のある歯科学会誌)を引用して効果を紹介するなんて画期的ですね!

Shen P, Cai F, Nowicki A, Vincent J, Reynolds EC.
Remineralization of enamel subsurface lesions by sugar-free chewing gum containing casein phosphopeptide-amorphous calcium phosphate.
J Dent Res. 2001 Dec;80(12):2066-70.

 日本でもこのようなきちんとした学術誌に掲載された研究結果を元に効果を判断する時代になるのでしょうか。情報がありふれている中で、信頼のおける情報を選び出す力が必要ですね。臨床現場において、それを簡単にできる具体的な手法がEBMです。

 ちなみに、上記の研究は、臨床的には無意味な研究です。なぜなら顕微鏡レベルの変化は臨床的な評価じゃないからどんなにすごい研究でも臨床の現場では、意味の無い結果だよね。

 臨床的な評価ってどうすればいいんだろうか? TVCMでおなじみの柳沢教授も、ワークショップの基調講演で「それは臨床現場の方の仕事で、我々は、だた顕微鏡を覗いてわかることをお伝えするだけです。」なんてコメントしてたじゃない。

 一方、昨年JDRに掲載されたもう1つのガム研究は、臨床に役立つ素晴らしい研究です。

Szoke J, Banoczy J, Proskin HM.
Effect of after-meal sucrose-free gum-chewing on clinical caries.
J Dent Res. 2001 Aug;80(8):1725-9.

 1日3回、食後にガム(ソルビトール)を20分噛んだ場合の虫歯予防効果をDMFで評価したものです。
 
ハンガリーのプタペストで行われた歯科では大規模な学校ベースの2年間のRCT(ランダム化比較臨床試験)です。ガム群(293名、脱落率8%)、コントロール群(290名、脱落率5%)でWHO基準診査し、ホワイトスポット(白濁歯面)の増加も調べています。

結果は、(table 3 より)

         table 3 虫歯の増加数

 *単位: incremetal DMFS mean(SE)    

白濁含む
白濁含まない
コントロール群
2.914( 0.162 )
1.327( 0.105 )
ガム群
1.951( 0.157 )
0.814( 0.102 )

 ガム群が38.7%の虫歯予防効果となっています。再石灰化を臨床的な評価ポイントで測定するなら、この「白濁の消失」だよね。残念ながら、この研究では白濁の増加数だけがわかるだけで消失数はわかりません。

 さて、ハンガリーの研究で真に重要な部分は実は別にあるです。なんと歯面および歯種別に、DMFSの増加を報告しているんですよ!本研究のきもとなる table 4 から抜粋して紹介すると

table 4 2年間の増加DMFS
<歯面別>
ガム
コントロール群
平滑面
0.25(0.98)
0.51(1.05)
隣接面
1.15(1.68)
1.66(1.93)
咬合面
0.51(1.02)
0.83(1.34)
*単位: incremetal DMFS mean(SE)
<歯種別>
ガム
コントロール群
中切歯
0.19(0.56)
0.26(0.64)
側切歯
0.15(0.53)
0.28(0.61)
犬歯
0.00(0.06)
0.01(0.13)
第1小臼歯
0.09(0.40)
0.17(0.59)
第2小臼歯
0.13(0.60)
0.22(0.69)
第1大臼歯
0.93(1.55)
1.41(1.73)
第2大臼歯
0.65(1.15)
0.96(1.33)

結果は、一目瞭然ですよね。
両群ともに、リスク部位は、第1大臼歯の隣接面です。
咬合面は、シーラントで予防できますよ。
隣接面は、ガム食べても予防できませんよ。
平滑面は、もともと虫歯になり難いですよ。

つまり、ガム(ソルビトール)食べるように指導するより、フロッシングの習慣づけをする方が、指導項目としては、より重要(優先される)ということです。

あ、もちろんこの研究からは、キシリトールガムの効果はわかりません。
それを調べて広告するならロッテさん、見直しちゃうよなぁ (^_^)